「あと1階」が、一番しんどい。

「あと1階」が、一番しんどい。

実家は一軒家だった。

家を出てからは、
ずっとエレベーターのないアパート暮らし。

2階、3階、4階、5階。

全部住んだことがある。

4階に住んでいた頃は、
3階まで来ると、
「ああ、まだ1階ある……。
せめて3階だったら。」

3階に住んでいた頃は、
「せめて2階だったら。」

5階に住んでいた頃も、
4階まで登るたびに、
「あと1階か……。」
と思っていた。

でも、不思議なことがある。

5階に住んでいても、
「3階だったらよかった。」
とは思わなかった。

3階に住んでいても、
「3階でよかった。」
とも思わなかった。

結局、
どの階に住んでいても、
気になるのは目の前の「あと1階」。

人間って、
ゴールが見えているのに、
まだ少し頑張らないといけない。

そんな状況が、
一番しんどいのかもしれない。

この話を夫にしたら、
「じゃあ、1階に引っ越す?」
と言われた。

私は即答した。

「1階は蚊が多そうだから嫌!」

蚊

どこに住んでも文句言うね。

私って、わがままだ。

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